賃貸住宅へ引っ越した直後、キッチンの換気扇やレンジフードを確認すると、フィルターや内部に前の入居者が使ったと思われる油汚れが大量に残っていることがあります。「入居前にハウスクリーニングされているはずなのに、これは普通なのか」と疑問に感じるところです。
賃貸住宅では退去後に清掃が行われることが多いものの、すべての物件で換気扇内部まで完全に分解洗浄され、新品同様になることが保証されているわけではありません。契約内容、清掃業者の作業範囲、設備の構造などによって仕上がりには差があります。
一方、入居した時点でフィルターが油でベタベタしている、油が垂れてくる、強い臭いがするなど明らかな汚れが残っているなら、「よくあることだから自分で掃除するしかない」と決めつけず、まず写真を残して管理会社や貸主へ連絡するのがおすすめです。入居直後に記録しておくことは、退去時のトラブル防止にも役立ちます。
賃貸の換気扇に油汚れが残っていることはある?
実際の賃貸住宅では、入居前清掃をしていても細かな汚れが残っていることはあります。しかし「汚れが残ることがある」と「油まみれでも通常の状態」というのは別の話です。
例えばレンジフードの外側はきれいでも、フィルターを外すと内部のファン周辺に古い油が残っているケースがあります。清掃の契約範囲によっては、外装・フィルター周辺までの清掃と、ファンを取り外して行う本格的な分解洗浄が別扱いになっている場合もあります。
反対に、触るだけで手に大量の油が付く、フィルターの目が油で詰まっている、油が滴るほど残っているという状態なら、少なくとも入居者側から管理会社へ状態を伝えて確認してもらう価値があります。清掃済みかどうかは見た目だけで断定せず、物件ごとの契約・清掃履歴を確認しましょう。
「ハウスクリーニング済み」でも新品同様とは限らない
賃貸物件の募集情報などに「ハウスクリーニング済み」と書かれていても、それだけで室内のあらゆる設備が新品同様まで洗浄されるという意味にはなりません。どこまで清掃するかは貸主・管理会社と清掃業者との契約などによって異なります。
特に換気扇は、フィルター、整流板、オイルトレー、ファン、モーター周辺など構造が複雑です。表面清掃だけなら短時間でできますが、ファンを取り外して蓄積した油まで除去する作業は手間がかかります。
そのため入居時に汚れを見つけたら、「ハウスクリーニングしたはずなのにおかしい」と断定するより、「入居時点で換気扇のフィルターと内部にこの程度の油汚れが残っています。清掃済みの状態でしょうか」と写真付きで問い合わせる方法が現実的です。
入居直後なら自分で掃除する前に写真を撮る
換気扇の汚れを見つけると、すぐ洗剤で落としたくなります。しかし入居直後なら、清掃する前に写真や動画で状態を記録しておくことをおすすめします。
撮影するときは、換気扇全体、フィルター、油が付着している部分、油だまりや垂れがある部分をそれぞれ残します。可能なら入居日が分かる書類やスマートフォンの撮影日時も残しておくと、入居当初から存在した汚れであることを説明しやすくなります。
これは清掃を依頼するためだけではありません。退去時に換気扇の油汚れを指摘された場合にも、「入居前から存在していた汚れ」と「入居後の使用によって付いた汚れ」を区別する資料として役立つ可能性があります。
管理会社にはどのように連絡すればいい?
入居直後であれば、管理会社や貸主へ早めに連絡します。感情的に「掃除されていない」と決めつけるより、発見した状態を客観的に伝えるほうが話が進みやすくなります。
例えば「○月○日に入居し、キッチンの換気扇を確認したところ、フィルターと内部に写真のような油汚れが残っていました。入居前清掃の対象だったか確認していただけますか。必要であれば再清掃をお願いしたいです」という内容で十分です。
清掃業者の再訪問になるのか、管理会社側で確認するのか、入居者自身で清掃する扱いになるのかは契約や状況によって異なります。再清掃が必ず無料になるとは限らないため、先に管理会社の回答を得てから対応するのが安全です。
入居時の状態を記録することは退去時にも重要
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、入退去時に物件の状態を確認しておくことがトラブル防止に有効とされています。入居時の確認リストや写真などを残すことは、換気扇に限らず重要です。国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン[参照]
換気扇以外にも、壁紙の傷、床のへこみ、浴室のカビ、キッチンの焦げ跡、エアコン、建具など、入居時から存在する傷や汚れがあればまとめて記録しておくとよいでしょう。
管理会社から入居時チェックシートを渡されている場合は、提出期限も確認します。「換気扇フィルター・内部に強い油汚れあり」など具体的に記載し、可能なら写真を添えて提出します。
換気扇が油まみれなら動作状態も確認する
油汚れは見た目や臭いだけでなく、換気性能にも関係することがあります。フィルターに油やほこりが大量に付着して目詰まりしていれば、空気を吸い込みにくくなる可能性があります。
また、換気扇を運転したときに異常に大きな音がする、ファンが回らない、振動が激しい、焦げ臭いなどの症状がある場合は、単なる清掃問題として扱わず管理会社へ設備不良として伝えましょう。
特にモーターや電気部品周辺まで大量の油が入り込んでいる場合は、自分で分解するのはおすすめできません。賃貸の備え付け設備を勝手に分解して破損すると別の問題になるため、取扱説明書で利用者が外して清掃できる範囲にとどめます。
自分で掃除する場合も設備を傷めないよう注意する
管理会社との確認後、自分でフィルターなどを掃除する場合は、その換気扇の取扱説明書に従います。フィルターや整流板など水洗いできる部品がある一方、モーター、スイッチ、配線など水をかけてはいけない部分もあります。
油汚れだからと強力な洗剤を無条件に使うのも注意が必要です。塗装された部品やアルミ製部品などは、洗剤の種類によって変色・腐食・塗装剥離を起こす場合があります。メーカー指定の清掃方法を確認してください。
ファンが固着するほど油が蓄積している場合や、手の届かない内部まで汚れている場合は、無理な分解清掃をせず専門業者へ任せるほうが安全です。賃貸なら、業者を自分で手配する前に費用負担を管理会社へ確認しておきましょう。
入居者負担になる汚れと入居前からの汚れは分けて考える
賃貸住宅では、入居中の通常の清掃や日常的な手入れは入居者が行うことになります。そのため、入居して長期間使用した後に換気扇へ油汚れが蓄積したケースと、鍵を受け取った直後から大量の油が残っていたケースでは事情が異なります。
国土交通省の原状回復ガイドラインでも、原状回復を「借りた当時の状態へ完全に戻すこと」と単純に考えるのではなく、通常損耗・経年変化などとの区分を整理しています。ただし、実際の費用負担は契約内容や汚れの発生原因などによって判断されます。国土交通省 原状回復ガイドライン[参照]
だからこそ、入居したばかりの段階で気になる汚れを見つけたら放置せず、記録と連絡をしておくことが重要です。数年後に「最初から汚れていた」と説明するより、入居直後に写真付きで報告しておくほうが状況を確認しやすくなります。
管理会社が対応してくれない場合はどうする?
管理会社へ相談しても話が進まない場合は、まず契約書、重要事項説明書、入居時の清掃に関する記載、入居時チェックシートなどを確認します。やり取りは電話だけでなく、メールや問い合わせフォームなど記録が残る方法も利用するとよいでしょう。
費用負担などを巡ってトラブルになり、自分だけでは判断できない場合は、消費生活センター等につながる消費者ホットライン「188」へ相談する方法もあります。消費者庁 消費者ホットライン188[参照]
ただし、少量の汚れが残っているだけで直ちに契約上の問題になるとは限りません。重要なのは汚れの程度、契約内容、清掃について説明された内容を整理し、まず貸主側へ確認することです。
まとめ:入居時から換気扇が油まみれなら写真を撮って管理会社へ確認しよう
賃貸住宅では、入居前に清掃が行われていても換気扇内部などに多少の汚れが残っているケースはあります。しかし、フィルターが油で目詰まりしている、触ると大量の油が付く、油が垂れるほど汚れているといった状態まで「普通だから仕方ない」と考える必要はありません。
入居直後に見つけた油汚れは、自分で掃除する前に写真・動画を残し、管理会社や貸主へ状態を伝えて清掃済みなのか確認することが重要です。必要に応じて再清掃が可能か相談しましょう。
また、入居時の記録は退去時の原状回復トラブルを防ぐ意味でも役立ちます。換気扇だけでなく、壁、床、水回り、エアコンなども入居直後に一通り確認し、既存の傷や汚れを記録しておくと安心です。換気扇に異常音・強い振動・焦げ臭さなどがある場合は自分で分解せず、設備不良として管理会社へ点検を依頼しましょう。


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