注文住宅は今後減る?中古住宅を買う人は増える?新築と中古の住宅市場をデータから解説

注文住宅

住宅購入を考えるとき、「これから注文住宅を建てる人は減って、中古住宅を買う人が増えていくのではないか」と感じる人は少なくありません。実際、日本では新設住宅着工戸数が減少傾向にある一方、既存住宅の流通シェアは以前より高くなっており、新築と中古の選択肢を取り巻く環境は変化しています。

ただし、これは「注文住宅がなくなる」「これからは中古住宅が主流になる」と単純に決められる話ではありません。住宅価格、土地価格、建築費、住宅ローン金利、世帯数、住宅性能、中古住宅の状態など、複数の要因が購入行動に影響します。

この記事では、国土交通省などの公的資料をもとに、新築住宅と中古住宅の市場がどのように変化しているのかを整理し、今後どのような住宅選びが増えそうなのかを考えます。

注文住宅は今後減少する可能性が高いが「なくなる」わけではない

注文住宅の動向を見るうえで参考になるのが、国土交通省の新設住宅着工統計です。2025年の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅のいずれも減少し、全体として前年を下回りました。国土交通省「建築着工統計調査報告」[参照]

持家は注文住宅だけを完全に意味する統計ではありませんが、個人が自分で住むために建てる住宅の動向を考えるうえで重要な指標です。住宅価格や建築費の上昇などによって、新築を建てるハードルが以前より高くなっていることは無視できません。

一方で、注文住宅には「土地や間取りを含めて自分の希望に合わせられる」「断熱性や耐震性などの性能を新築時から選びやすい」「家族構成に合わせた設計ができる」といった中古住宅にはないメリットがあります。そのため、注文住宅の需要が減少しても、一定数の購入者は今後も残ると考えるのが自然です。

中古住宅を選ぶ人が増える可能性を示すデータもある

中古住宅については、国土交通省が「既存住宅販売量指数」を公表しています。これは建物の売買を原因とする所有権移転登記件数などをもとに、個人が購入した既存住宅の販売量の動向を指数化したものです。現在も継続的に公表されています。国土交通省「既存住宅販売量指数」[参照]

さらに国土交通省の資料では、戸建住宅について2008年から2024年にかけて、既存住宅流通のシェアが24.7%から33.3%へ上昇しています。同じ期間に、戸建住宅全体の流通量は減少しているため、住宅市場の中で中古戸建てが占める割合は以前より大きくなっていることが分かります。国土交通省資料「既存住宅流通シェアの推移」[参照]

この数字から「今後すべての人が中古を選ぶ」とまでは言えませんが、新築だけでなく既存住宅を購入してリフォーム・リノベーションするという選択肢が以前より重要になっていることは確かです。

なぜ注文住宅が高くなりやすいのか

注文住宅を建てる場合、建物本体だけでなく土地、設計、付帯工事、外構、地盤改良、各種諸費用など、多くの費用を考える必要があります。土地を持っていない人の場合、土地代と建築費の両方が住宅取得費用に影響します。

さらに、建築資材、人件費、設備などの価格が上昇すると、新築住宅の総額にも影響します。予算を抑えるために延床面積を小さくしたり、設備のグレードを下げたりする方法もありますが、「せっかく注文住宅を建てるなら希望を入れたい」という需要とのバランスが難しくなります。

例えば同じエリアで、土地付きの新築注文住宅が4,500万円、中古戸建てが2,800万円で販売されているとします。中古住宅に500万円をかけて断熱改修や水回りの交換をしても、総額3,300万円です。このような価格差がある地域では、中古住宅を選ぶ合理性が大きくなります。

中古住宅が増えても「安いから買う」とは限らない

中古住宅の魅力は価格だけではありません。すでに建物が完成しているため、実際の間取り、日当たり、周辺環境、道路との関係、隣家との距離などを確認しやすいというメリットがあります。

注文住宅では完成するまで実際の住み心地を完全には確認できませんが、中古住宅なら現地を見て生活をイメージできます。駅までの道、買い物のしやすさ、周囲の騒音なども確認できます。

また、中古住宅を購入して必要な部分だけリフォームする方法もあります。国土交通省の2025年度住宅市場動向調査では、既存住宅取得後にリフォームを行った世帯も一定数存在し、既存住宅とリフォームを組み合わせた住宅取得が選択肢になっています。国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」[参照]

それでも注文住宅を選ぶ人がいる理由

中古住宅の流通が増えるとしても、注文住宅には強い需要があります。特に住宅性能を重視する人にとって、新築時から断熱、耐震、換気、設備などを計画できることは大きなメリットです。

例えば小さな子どもがいる家庭なら、家事動線や収納、洗濯スペース、リビングの配置などを家族の生活に合わせて設計できます。在宅勤務をする家庭なら、最初から仕事部屋や通信環境を考慮した間取りにすることもできます。

中古住宅でもリフォームによって改善できる部分はありますが、柱や構造、敷地条件によってできることには限界があります。「多少高くても最初から自分たちの希望に合わせたい」という層がいる限り、注文住宅が消えるとは考えにくいでしょう。

これからは「新築か中古か」の二択ではなくなっていく

今後の住宅市場を考えると、新築注文住宅と中古住宅の二極化だけでなく、その中間にある選択肢も重要になりそうです。例えば中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う方法や、築浅住宅を購入して一部だけ改修する方法などがあります。

新築についても、すべてを自由に決める注文住宅だけでなく、規格住宅やセミオーダー型住宅など、コストと自由度のバランスを取った商品が選ばれる可能性があります。

つまり、住宅購入者が「新築だから良い」「中古だから安い」という単純な判断ではなく、総額に対してどの程度の性能・立地・広さ・自由度を得られるかを比較する時代になっていくと考えられます。

住宅ローン金利も新築・中古の選択に影響する

住宅価格だけでなく、住宅ローンの金利も購入可能額に影響します。日本銀行は2026年にも金融政策に関する決定を公表しており、住宅ローンを取り巻く金利環境は固定されたものではありません。日本銀行「2026年の金融政策決定」[参照]

例えば同じ4,000万円の住宅でも、ローン金利が変われば毎月の返済額や総返済額が変わります。購入者が借りられる金額そのものよりも、「無理なく返済できる金額」を基準に考えることが重要です。

金利が上昇する局面では、購入総額を抑えるために中古住宅を検討する人が増える可能性があります。ただし、金利だけで新築から中古へ大きく移行するとは限らず、住宅価格、所得、地域の土地価格、補助制度なども合わせて見る必要があります。

人口減少が進む地域では中古住宅が選ばれやすくなる可能性がある

全国一律で新築と中古の動きが同じになるわけではありません。人口が減少している地域では、住宅ストックが余りやすく、新築住宅と中古住宅の選択肢が大きく異なることがあります。

特に地方では、比較的安価な中古戸建てを購入してリフォームする選択肢が現実的になるケースがあります。一方、駅近など需要の強い地域では土地そのものが限られるため、新築だけでなく中古住宅の価格も下がりにくい場合があります。

そのため「これから中古住宅が安くなるか」を考える場合も、日本全体の平均だけではなく、購入したい市区町村、駅からの距離、学区、土地面積、築年数などを個別に確認する必要があります。

注文住宅と中古住宅はどちらを選ぶべきか

注文住宅が向いているのは、間取りや性能にこだわりがあり、土地探しから含めて長期的に住む家を計画したい人です。予算に余裕があり、断熱性や耐震性、収納、家事動線などを細かく決めたい場合には、新築のメリットが大きくなります。

一方、中古住宅は購入総額を抑えたい人、立地を優先したい人、実物を確認してから購入したい人と相性がよいでしょう。特に人気エリアでは、新築では予算を超える場所でも中古なら購入候補に入ることがあります。

ただし中古住宅では、購入価格だけで判断しないことが重要です。築年数、耐震性、屋根や外壁、水回り、給排水管、断熱性能、シロアリ、修繕履歴などを確認し、必要なリフォーム費用まで含めて新築と比較する必要があります。

中古住宅を選ぶなら「安さ」より住宅の状態を確認する

中古住宅の価格が新築より安くても、大規模な修繕が必要なら総額は大きくなります。購入前にはインスペクションなども含め、建物の状態を専門家に確認してもらうことを検討すると安心です。

特に築年数が古い戸建てでは、耐震性だけでなく、雨漏り、基礎、屋根、外壁、給排水、断熱など複数の項目を確認する必要があります。見た目がきれいでも、見えない部分に修繕費が必要になる場合があります。

例えば2,500万円の中古住宅に1,000万円の大規模リフォームが必要なら、単純に「新築より安い」とはいえません。反対に、状態の良い築浅住宅なら、必要な改修を限定して総額を抑えられる場合があります。

今後の住宅市場を見るときに重要なポイント

今後、注文住宅が減るか、中古住宅が増えるかを判断するときは、単純な住宅価格だけでなく次の項目を確認すると状況を把握しやすくなります。

  • 新設住宅着工戸数の推移
  • 持家の着工戸数の推移
  • 既存住宅販売量の推移
  • 既存住宅流通シェア
  • 住宅ローン金利
  • 建築費・土地価格
  • 世帯数と人口の変化
  • 住宅の省エネ・耐震性能に関する制度
  • 中古住宅のリフォーム費用

国土交通省は住宅市場動向調査や住宅経済関連データなどを継続的に公開しています。住宅市場は数年単位でも変化するため、住宅購入を検討するときは古い情報だけで判断せず、最新の統計を確認することが大切です。国土交通省「住宅市場動向調査」[参照]

まとめ:注文住宅は減少しても中古住宅への移行は地域や予算で変わる

日本では新設住宅着工戸数が減少する傾向が見られ、注文住宅を含む新築住宅の市場が今後も縮小する可能性はあります。一方で、既存住宅流通のシェアは上昇しており、中古住宅を購入してリフォームするという選択肢は以前より重要になっています。

ただし、「注文住宅は今後なくなる」「中古住宅を買う人が必ず増える」と断定するのは適切ではありません。新築には住宅性能や間取りを自由に計画できる強みがあり、中古住宅にも建物の状態やリフォーム費用などの注意点があります。

これからの住宅選びでは、新築か中古かという二択よりも、購入価格・リフォーム費用・住宅性能・立地・ローン返済額を含めた総額で比較することが重要です。特に中古住宅の流通が増えているからといって、すべての地域で中古が有利になるわけではありません。購入したい地域の価格と住宅の状態を確認し、自分の家族構成や予算に合った選択肢を比較することが、これからの住宅購入ではますます重要になりそうです。

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