変動金利型の住宅ローンを返済していると、適用金利の上昇を知って「金利がほぼ倍になったら毎月の返済額も倍になるのでは?」と不安になることがあります。しかし、住宅ローンの金利が0.8%から1.525%になったとしても、返済額が単純に約2倍になるわけではありません。
三井住友銀行の変動金利型住宅ローンでは、元利均等返済の場合、金利と毎月の返済額が同じタイミングで変更されるとは限りません。同行は「返済額5年間一定ルール」と「返済額見直し125%ルール」を案内しており、金利が上昇しても一定期間は毎月返済額が変わらず、その中で利息と元金の割合が変化する仕組みがあります。三井住友銀行・金利上昇時の住宅ローン返済プラン[参照]
重要なのは「金利が上がった=すぐ借り換え・繰り上げ返済をしなければ危険」と考えるのではなく、現在の適用金利、ローン残高、残存期間、返済方式、次回返済額見直し時期を確認してから判断することです。ここでは変動金利上昇時に住宅ローンで何が起こるのかを整理します。
金利が0.8%から1.525%になっても返済額が倍になるわけではない
0.8%から1.525%への上昇を見ると数字としては約1.9倍ですが、これはあくまで「金利」の比較です。住宅ローンの毎月返済額は元金と利息を合わせた金額なので、金利が約2倍になったからといって返済額まで約2倍になるわけではありません。
例えば毎月10万円を返済している住宅ローンなら、その10万円すべてが利息ではありません。「元金返済分+利息分」で10万円になっています。金利が上昇すると、このうち利息として支払う金額が増えることになります。
そのため、金利の数字だけを見て将来の負担を判断するのではなく、現在の住宅ローン残高と残存期間を使って返済シミュレーションを行う必要があります。
毎月の返済額が変わっていなくても元金の減り方は遅くなる
三井住友銀行は、変動金利型・元利均等返済について、5回目の10月1日を基準とする利率変更までは、その間に金利が変わっても返済額を一定とし、返済額の中の元金と利息の割合を変更すると説明しています。三井住友銀行FAQ・変動金利上昇時の返済額[参照]
つまり金利上昇後も毎月10万円の返済額が維持されている場合、以前より利息部分が増え、その分だけ元金へ充当される金額が少なくなることがあります。
| イメージ | 元金部分 | 利息部分 | 毎月返済額 |
|---|---|---|---|
| 金利上昇前 | 多い | 少ない | 同じ |
| 金利上昇後 | 少なくなる | 多くなる | 5年ルール期間中は原則同じ |
したがって「返済額が変わっていないから影響がない」というわけではありません。一方で「元金がまったく減らなくなる」とも限りません。通常は元金も返済されていますが、金利上昇前より減少ペースが遅くなると考えるのが適切です。
三井住友銀行の「5年ルール」とは?
三井住友銀行の変動金利型・元利均等返済では、適用金利は半年ごとに見直されます。同行によると見直し基準日は毎年4月1日と10月1日です。一方、毎月返済額については5年ごとに見直される仕組みです。三井住友銀行・住宅ローン金利種類変更[参照]
このため「ニュースで金利上昇を知ったのに、銀行口座から引き落とされる住宅ローン返済額は変わっていない」という状況が起こります。
返済額が据え置かれていても金利まで据え置かれているとは限らないという点が重要です。SMBCダイレクトなどで現在の適用金利、残高、返済予定を確認すると状況を把握しやすくなります。
125%ルールがあるから将来も安心とは限らない
三井住友銀行の変動金利型・元利均等返済には、5年ごとに返済額を見直す際、金利上昇によって計算上の返済額が大幅に増えても、新しい返済額をそれまでの125%までに抑えるルールがあります。例えば月10万円なら、次の見直しで上限が12万5,000円になるイメージです。三井住友銀行・返済額見直し125%ルール[参照]
ただし、これは利息そのものを免除する制度ではありません。金利上昇による負担が消えるのではなく、毎月返済額の急上昇を抑える仕組みです。
三井住友銀行は、金利が急激に上昇して新しい利率による利息が毎月返済額を上回った場合、その超過分が未払利息として翌月以降へ繰り延べられることがあると説明しています。最終回まで残った元金や未払利息については、最終回返済時に支払いが必要になる場合があります。三井住友銀行FAQ[参照]
4年前に借りた住宅ローンなら次回の返済額見直し時期を確認する
借り入れから4年程度の場合、5年ごとの返済額見直しが近づいている可能性があります。ただし、三井住友銀行では10月1日を1回経過するごとに1年経過したものとみなす仕組みがあるため、単純に契約日からちょうど5年後とは限りません。
また、住宅ローンの商品や返済方式によって条件が異なる可能性があります。特に元金均等返済では、元利均等返済にある5年ルール・125%ルールは適用されません。提携ローンなどでも通常と異なる場合があります。
そのため、契約時期だけから次回返済額を推測するより、SMBCダイレクトや返済予定表で現在の適用金利・残高・返済方式・次回返済額見直し時期を確認することが先です。
金利が上がったら繰り上げ返済したほうがいい?
金利上昇時には繰り上げ返済のメリットが以前より大きくなる場合があります。元金を早く減らせば、その元金に対して将来発生する利息を減らせるためです。
三井住友銀行では一部繰り上げ返済と全額繰り上げ返済を用意しており、対象となる住宅ローンではSMBCダイレクトからの手続きについて銀行手数料無料と案内しています。ただし商品や契約内容によって取り扱いが異なる場合があります。三井住友銀行・住宅ローン繰上返済[参照]
ただし、金利が上がったから預貯金をほぼすべて繰り上げ返済へ回すという判断には注意が必要です。病気、失業、教育費、住宅修繕、自動車購入などに備える生活防衛資金まで減らすと、住宅ローン以外のリスクへ対応しにくくなります。
期間短縮型と返済額軽減型は目的が違う
一部繰り上げ返済には、一般に返済期間を短くする方法と、毎月の返済額を軽減する方法があります。利息削減を重視する場合と、毎月の家計負担を軽くしたい場合では選択肢が異なります。
三井住友銀行は金利上昇時の注意事項として、期間短縮型で残存期間を5年未満まで短縮した場合、返済額の見直しが行われず最終回返済額が毎月返済額以上になる場合があることなどを案内しています。また、125%ルールによって持ち越された元金・利息を調整する場合には返済額軽減型についての案内もあります。三井住友銀行・返済プラン見直し[参照]
繰り上げ返済は「とにかく早く返せば得」と一律に判断せず、住宅ローン控除の適用状況、手元資金、残存期間、今後の教育費や老後資金まで含めて判断することが大切です。
借り換えは「今より金利が低いか」だけで決めない
金利上昇をきっかけに他行への借り換えを検討するのも選択肢ですが、新しい住宅ローンの金利だけを比較するのは不十分です。借り換えでは新規ローンの事務手数料、登記費用、現在のローンを完済するための費用などが発生する場合があります。
例えば三井住友銀行のWEB申込専用借り換えローンでは、借り入れ時に融資金額の2.2%(税込)の銀行手数料が必要と案内されています。このほか登記費用なども必要です。三井住友銀行・WEB申込専用借り換えローン[参照]
3,000万円を借り換える例なら、2.2%だけでも66万円になります。実際の費用体系は借り換え先によって異なりますが、金利差による利息削減額が借り換え費用を上回るかを総額で比較する必要があります。
変動金利から固定金利へ変更する選択肢もある
「今後さらに金利が上がるのが精神的に不安」という場合は、他行へ借り換える以外に、現在の銀行で固定金利特約型へ変更できるケースがあります。三井住友銀行では、変動金利型から固定金利特約型への変更について案内しています。三井住友銀行・金利種類変更[参照]
固定金利には一定期間の金利・返済額を確定できるメリットがあります。一方、固定期間中に市場金利が低下しても、その恩恵を受けにくいというデメリットがあります。
そのため「変動金利が上がったから固定へ逃げれば必ず得」という関係ではありません。変動継続・固定への変更・他行への借り換えを、それぞれの金利と諸費用を含めて比較する必要があります。
まず確認したい5つの数字
金利上昇の記事を見て焦ったときほど、ニュースの数字だけで判断せず、自分の契約内容を確認することが重要です。最低限、次の項目を確認すると判断しやすくなります。
- 現在の適用金利:実際に自分のローンへ適用されている金利
- 現在の住宅ローン残高:あといくら元金が残っているか
- 残存期間:完済まであと何年あるか
- 返済方式:元利均等返済か元金均等返済か
- 次回の返済額見直し時期:毎月返済額がいつ再計算されるか
さらに住宅ローン控除の残り期間、預貯金、今後数年間の大きな支出も確認します。この情報がそろえば、「何もしない」「一部繰り上げ返済」「固定金利へ変更」「他行へ借り換え」という選択肢を具体的に比較できます。
特に重要なのは、ニュースなどで見た「1.525%」が自分の契約へそのまま適用されると決めつけないことです。住宅ローンには借入時期、商品、優遇幅などの条件があるため、自分の最新の適用金利は銀行の契約情報・返済予定表で確認する必要があります。
まとめ:返済額が同じでも金利上昇の影響はあるが、焦って借り換える必要はない
三井住友銀行の変動金利型住宅ローンで元利均等返済を利用している場合、金利が上昇しても5年ルールによって毎月返済額がすぐには変わらないことがあります。しかし、その間も返済額の中で利息の割合が増え、元金の減少ペースが遅くなる可能性があります。
また、5年後の返済額見直しには125%ルールがありますが、これは金利上昇による負担をなくす制度ではありません。急激な金利上昇では元金や利息が後へ持ち越される可能性もあるため、「毎月の引き落とし額が同じだから問題ない」と考えず、残高と返済予定を確認することが重要です。
一方で、金利上昇を知っただけで直ちに借り換えや大規模な繰り上げ返済をする必要があるとも限りません。現在の適用金利、ローン残高、残存期間、次回返済額、手元資金を確認し、変動継続・繰り上げ返済・固定金利への変更・借り換えを総支払額で比較することが大切です。
特に借り換えには事務手数料や登記費用などが発生するため、金利だけで判断するとかえって総費用が増える場合があります。まずはSMBCダイレクトや返済予定表で自分の契約内容を確認し、必要なら銀行へ将来の返済額シミュレーションを依頼してから判断するとよいでしょう。


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