住宅ローン金利はソフトバンク社債の利息で相殺できる?「差し引き金利ゼロ」の考え方とリスクを解説

住宅ローン

住宅ローンを組む一方で、高い利率の社債を保有して利息を受け取れば、「住宅ローンの金利を社債の利息で相殺できるのでは?」と考えることがあります。例えば住宅ローンの金利が年1%前後で、保有する社債の利率が年5%前後なら、一見すると非常に有利に見えます。

しかし、住宅ローンの金利と社債の利率を単純に比較して「実質的な金利負担がゼロになる」と考えるのは適切ではありません。住宅ローンと社債は仕組みもリスクも異なり、社債には元本割れや発行会社の信用リスク、途中売却時の価格変動、税金などがあります。

ここでは、住宅ローンを利用しながらソフトバンクグループなどの社債を購入した場合に、なぜ単純な「金利相殺」にはならないのかを具体例とともに整理します。

住宅ローン金利と社債利率は同じ「金利」でも意味が違う

住宅ローンの金利は、お金を借りる人が金融機関へ支払うコストです。一方、社債の利率は、企業へ資金を貸す立場となった投資家が受け取る利息を計算するためのものです。

そのため、例えば住宅ローン金利が年1%、社債利率が年5%だったとしても、「5%-1%=4%得をする」というだけでは投資判断はできません。住宅ローンの残高と社債への投資額が違えば受払額も変わり、社債には投資特有のリスクが存在するからです。

考える際には「何%か」だけではなく「いくら借りていて、いくら投資しているか」を見る必要があります。住宅ローン3,000万円に年1%の金利がかかるケースと、100万円の社債から年5%の利息を受け取るケースでは、元本がまったく違います。

具体例で考えると「利率が高い=住宅ローン金利ゼロ」ではない

分かりやすく単純化し、住宅ローン残高3,000万円、住宅ローン金利を年1%とします。残高が年間を通じて変化しないと仮定すれば、単純計算した1年間の利息は約30万円です。

一方、100万円を年5%の社債へ投資した場合、税引前の年間利息は5万円です。このケースでは住宅ローンで約30万円の利息を負担するのに対し、社債から得られる利息は税引前5万円なので、当然ながら住宅ローンの利息全額をカバーできません。

住宅ローンと同額の3,000万円を年5%の社債へ投資できれば、単純計算上の利息は年間150万円となります。しかし、そもそも3,000万円という大きな資金を住宅購入の頭金や繰上返済に使わず、一企業の社債などへ投資することには相応のリスクがあります。「利回りの差」だけではなく、資産全体で考える必要があります。

社債の利息には税金がかかる

社債の表面利率を、そのまま手取りの収益率として考えないことも重要です。公社債の利子については課税関係があり、一定の公募社債などの利子では原則として20.315%相当の税率で所得税・復興特別所得税・地方税が源泉徴収されます。税務上の扱いは社債の種類や口座などによって異なる場合があるため、個別の商品について確認が必要です。

例えば税引前で年間5万円の利息が発生しても、20.315%が源泉徴収されるケースなら、単純計算した税引後受取額は約3万9,843円です。したがって住宅ローンの支払利息と比較するときには、社債の表面利率ではなく税引後に実際に残る金額を見る必要があります。

税制は条件によって取り扱いが異なるため、実際に投資する場合には証券会社の商品説明や国税庁などの最新情報を確認してください。

ソフトバンクグループの社債にも元本保証はない

企業が発行する社債は預金ではありません。発行会社の信用状況が悪化した場合には、予定されていた利息や元本の支払いを受けられなくなる信用リスクがあります。したがって「満期まで持てば必ず元本が戻る金融商品」と考えることはできません。

また、満期前に社債を売却する場合、市場環境や金利、発行会社の信用状況などによって価格が購入価格を下回ることがあります。住宅の修繕、教育費、病気や失業などで急に現金が必要になり、社債を途中で売却することになれば損失が発生する可能性もあります。

特に高い利率が設定された社債を見ると魅力的に感じますが、一般に利回りだけを見るのではなく、その利回りを得るためにどのようなリスクを負うのかを確認することが重要です。

ソフトバンクグループの社債は種類によって条件が大きく異なる

「ソフトバンク社債」と一括りにすることにも注意が必要です。ソフトバンクグループが発行する社債には複数の種類があり、利率、満期、償還条件などが異なります。2026年にも個人投資家向けの国内ハイブリッド社債が発行されており、例えば第9回の利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)は、当初5年間の固定利率が年5.12%、各社債の金額が100万円、年限が35年とされています。

ただし、これは一般的な普通社債とは異なる劣後特約や利払繰延条項などを持つハイブリッド社債です。「5%を超える利率だから住宅ローンより得」と数字だけを取り出すのではなく、商品に設定された条件を理解する必要があります。

さらに社債は発行時期によって条件が変わります。過去に高利率の社債が発行されたからといって、いつでも同じ条件で購入できるとは限りません。購入を検討するときには、その時点で販売されている商品の目論見書や契約締結前交付書面などを確認することが欠かせません。

「住宅ローンを返す」ことと「社債へ投資する」ことの違い

手元にまとまった現金がある場合、「住宅ローンを繰上返済するか、それとも投資するか」という選択になります。繰上返済をすれば、その部分について将来支払うはずだった住宅ローン利息を確実に減らせます。

一方、その資金を社債に投資すれば住宅ローンは残ります。社債から住宅ローン金利を上回る収益を得られる可能性はありますが、元本や利払いに関するリスクを負うことになります。

例えば手元の1,000万円について「住宅ローンを1,000万円繰上返済する方法」と「1,000万円を社債へ投資しながら住宅ローンを維持する方法」を比較するなら、表面上の金利差だけでなく、税引後利回り、住宅ローン控除の適用状況、手元資金の必要額、投資期間、社債の信用リスクなどを含めて比較する必要があります。

高金利の社債へ住宅資金を集中させるリスク

住宅を購入すると、住宅ローン以外にもさまざまなお金が必要になります。固定資産税、火災・地震保険、設備交換、外壁や屋根の修繕など、購入後にも大きな支出が発生する可能性があります。

そのため、余裕資金の大部分を一つの会社の社債へ投入すると、必要なときに現金化しにくくなったり、特定企業の信用リスクに資産が偏ったりします。住宅ローンという大きな負債を抱えている状態では、十分な生活防衛資金を確保することも重要です。

「住宅ローンより高い利回りの商品を買えば得」という発想だけではなく、負債と金融資産をセットで管理することがポイントです。

金利差を比較するときに確認したい項目

住宅ローンと社債を比較するときには、少なくとも次の項目を確認すると判断しやすくなります。

  • 住宅ローンの実際の適用金利
  • 固定金利か変動金利か
  • 住宅ローン残高と社債への投資金額
  • 社債の税引前利率と税引後の受取額
  • 社債の満期と期限前償還などの条件
  • 発行会社の信用リスク
  • 途中売却した場合の価格変動リスク
  • 住宅ローン控除の適用状況
  • 生活防衛資金を十分に残せるか

特に「社債利率5%、住宅ローン金利1%」というような数字だけを比較すると、リスクと税金が抜け落ちます。比較するなら、社債については税引後収益とリスクを考慮し、住宅ローンについては控除なども含めた実質的な負担を見る必要があります。

まとめ:社債利息で住宅ローン金利を相殺する発想は可能だが「金利負担ゼロ」とは限らない

住宅ローンを利用しながら社債を保有し、受け取った利息を住宅ローンの利息負担に充てること自体は可能です。条件によっては、社債から受け取る税引後利息が住宅ローンの年間支払利息を上回るケースも計算上はあり得ます。

しかし、それは住宅ローンの金利そのものがゼロになったことを意味しません。住宅ローンの利息は引き続き発生し、別に保有しているリスク資産から得た収益によって、その負担を経済的に補っているだけです。社債には信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクなどがあり、利息には税金も関係します。

したがって住宅資金と社債投資を組み合わせる場合は、「社債利率-住宅ローン金利」という単純計算ではなく、税引後収益・投資額・住宅ローン残高・社債のリスク・手元資金を含めて総合的に判断することが重要です。具体的な商品を購入する際は、発行会社や証券会社が公表する最新の条件を確認し、必要に応じて税理士や独立したファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談するとよいでしょう。

参考情報:ソフトバンクグループ株式会社「社債情報」[参照]国税庁「利息を受け取ったとき(利子所得)」[参照]

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