相続財産に不動産が多く含まれる場合、「預貯金を残しておくと、その分だけ相続税が増えてしまうのではないか」「生前に建物の修繕などでお金を使った方が有利なのではないか」と考える人は少なくありません。
しかし、相続税対策では単純に財産を減らせばよいというものではなく、資産の種類や使い道、将来的な価値まで考えることが重要です。この記事では、不動産と預貯金の相続税評価の違いや、生前修繕を行う場合の考え方について解説します。
相続税は不動産と預貯金を合計した財産額で計算される
相続税は、亡くなった時点で所有していた財産の合計額をもとに計算されます。不動産だけでなく、現金や預貯金、有価証券、自動車なども相続財産に含まれます。
例えば、不動産の相続税評価額が3億円あり、さらに預貯金が5000万円ある場合、基本的には合計3億5000万円の財産として相続税計算の対象になります。
そのため、「現金だから相続税がかからない」ということはありません。現金や預貯金は額面そのままが評価額になるため、相続税対策では現金の持ち方も重要になります。
不動産と現金では相続税評価の方法が違う
相続税を考えるうえで大切なのは、財産の種類によって評価方法が異なる点です。預貯金は基本的に残高そのものが評価額になります。
一方、不動産は市場で売買される価格ではなく、相続税評価額という基準で評価されます。土地の場合は路線価方式や倍率方式、建物の場合は固定資産税評価額を基準に計算されるため、実際の購入価格や売却価格より低く評価されることがあります。
例えば、購入価格が4億円だった土地建物でも、相続税評価額が3億円程度になるケースがあります。そのため、現金を不動産に変えること自体が相続税対策として利用される場合があります。
生前に建物修繕をすると相続税対策になるのか
建物の修繕にお金を使うことで預貯金は減りますが、それだけで必ず相続税が大きく下がるとは限りません。修繕費として支払った金額が、そのまま相続財産から減るとは限らないためです。
例えば、老朽化した屋根を1000万円かけて修繕した場合、手元の預金は1000万円減ります。しかし、建物の価値も同じように1000万円上がるとは限らず、相続税評価額に大きな影響を与えない場合があります。
ただし、必要な修繕を行うことには別のメリットがあります。建物の劣化を防ぎ、将来売却しやすくしたり、相続した家族が利用しやすくしたりする効果があります。
相続対策として意味のあるお金の使い方とは
相続税対策では、単純にお金を減らすよりも、財産の形を整えることが重要です。例えば、老朽化した建物の修繕、賃貸物件の維持管理、必要な設備更新などは、資産価値を維持する目的で行うことがあります。
また、親が元気なうちに家族で資産について話し合うことも大切です。相続後に「維持費が高すぎる」「修繕費を誰が負担するのか」といった問題が起きるケースもあります。
例えば、相続予定の実家が築50年で大規模修繕が必要な場合、生前に修繕しておくことで相続後の負担を減らせる可能性があります。一方で、将来的に誰も住まない家であれば、大きな修繕費をかける必要があるか慎重に検討する必要があります。
相続税対策で注意したいポイント
相続税を減らす目的だけで不要な支出をすると、結果的に家族が受け取れる財産を減らしてしまう可能性があります。大切なのは、税金だけを見るのではなく、財産全体のバランスを見ることです。
また、相続税には基礎控除があり、すべての相続で税金が発生するわけではありません。財産額や法定相続人の人数によっても対策内容は変わります。
大きな不動産や多額の預貯金がある場合は、税理士や専門家に相談しながら、生前贈与、土地活用、修繕計画などを組み合わせて検討すると安心です。
まとめ
不動産の相続税評価額が3億円ある場合、預貯金が追加であれば基本的にはその分も相続財産として加算されます。ただし、不動産と現金では評価方法が異なるため、単純に現金を減らせばよいというものではありません。
建物の修繕は、相続税を下げる目的だけで判断するのではなく、資産価値の維持や相続後の家族の負担軽減という視点で考えることが大切です。
相続対策では「いくら使うか」よりも「どのような財産として残すか」を考えることが重要です。早めに資産状況を整理し、家族にとって最適な方法を検討しておくことが将来のトラブル防止につながります。


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