賃貸物件を退去する際、「この小さな傷でも修繕費を請求されるのでは?」と不安になる人は多いものです。特に壁や床に5mm程度の小さな傷やへこみがある場合、原状回復費用の対象になるのか気になるケースがあります。
しかし、賃貸住宅の退去費用には国のガイドラインがあり、すべての傷が借主負担になるわけではありません。この記事では、退去立会時によく問題になる小さな傷やへこみの扱いについて、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
原状回復とは「入居時に完全に戻す」ことではない
まず知っておきたいのが、「原状回復」は新品同様に戻すことではないという点です。
国土交通省のガイドラインでは、通常生活で自然に発生する汚れや経年劣化については、基本的に貸主負担とされています。
たとえば次のようなものは、一般的に通常損耗として扱われやすい例です。
- 家具設置による軽微な床のへこみ
- 日焼けによるクロス変色
- 生活による細かな擦り傷
- 冷蔵庫裏の電気焼け
つまり、小さな傷があるだけで即請求されるわけではありません。
[参照]国土交通省 原状回復ガイドライン
5mm程度の小さな傷は請求対象になるのか
5mm程度の小さな傷やへこみの場合、実際には請求されないケースも多くあります。
特に家具移動や日常生活の範囲で発生した軽微な傷については、通常使用による損耗と判断されやすいためです。
ただし、次のような場合は借主負担になる可能性があります。
| 傷の内容 | 請求されやすさ |
|---|---|
| 画鋲程度の小穴 | 低い |
| 故意による傷 | 高い |
| 重い物を落とした深いへこみ | 高い |
| 通常生活でつく軽微な擦り傷 | 低い |
つまり、サイズだけではなく、「どうやってできた傷なのか」が重要になります。
退去立会で確認されやすいポイント
退去立会では、管理会社や大家が部屋全体を確認します。その際、小さな傷だけでなく、複数箇所の損傷や清掃状態なども総合的に見られます。
特に確認されやすい場所は以下の通りです。
- フローリングの傷やへこみ
- クロスの破れ
- 水回りのカビや水垢
- タバコによるヤニ汚れ
- ペットによる傷
たとえばフローリングに5mm程度の小さな傷が1箇所だけある場合、単独では請求されないこともあります。
一方で、同じ部位に複数の傷が集中している場合や、明らかに強い衝撃による損傷と判断される場合は、部分補修費用が発生することがあります。
修繕費が不安な場合にやっておきたいこと
退去前には、室内の状態をスマートフォンなどで撮影しておくことが大切です。
特に小さな傷については、写真を残しておくことで、後から過剰請求を防ぎやすくなります。
また、入居時の写真や「入居時チェックシート」が残っている場合は、比較資料として役立ちます。
もし高額な請求を受けた場合は、すぐに支払うのではなく、修繕内容の明細確認を行いましょう。
クロス全面張替えや床全面交換などが必要かどうかは、損傷範囲によっても変わります。
実際によくある退去トラブル例
退去時によくあるのが、「小さな傷なのに全面交換費用を請求された」というケースです。
たとえばフローリングの一点傷だけにもかかわらず、部屋全体の床交換費用を請求される事例があります。
しかし現在は、経過年数や損耗割合を考慮する考え方が一般的です。
そのため、築年数や入居期間によっては、借主負担額が大きく減額される場合もあります。
納得できない場合は、消費生活センターや不動産適正取引推進機構へ相談する方法もあります。
まとめ
退去立会時に5mm程度の小さな傷やへこみがあっても、必ず修繕費を請求されるとは限りません。
通常生活による軽微な損耗であれば、貸主負担になるケースも多くあります。
一方で、故意や重大な過失による傷は借主負担になる可能性があるため、傷の原因や状態が重要になります。
退去前には写真記録を残し、請求内容に不明点があれば内訳確認を行うことで、不要なトラブルを防ぎやすくなります。


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