新築住宅の完成後に「隣家のブロック塀が自分の敷地へ少し越境していた」と判明し、戸惑うケースは少なくありません。特に分譲地では、造成時やブロック施工時の誤差、経年による傾きなどが原因で境界トラブルにつながることがあります。
一見すると数センチ程度の問題でも、将来的な売却や近隣関係に影響する可能性があるため、軽く考えず整理しておくことが大切です。
この記事では、ブロック塀の越境問題でよくあるパターンや、覚書の意味、売却時への影響、そして対応を考える際に確認しておきたいポイントについてわかりやすく解説します。
ブロック塀の越境問題は実際によくあるのか
境界付近のブロック塀やフェンスの越境は、不動産実務では比較的よく見られるトラブルの一つです。
特に次のようなケースでは発生しやすい傾向があります。
- 造成時に境界付近の施工誤差があった
- ブロック塀が経年で傾いた
- 地盤沈下や土圧で押された
- 分譲地で施工会社が複数存在していた
今回のように「基礎部分は越境していないが、上部だけ傾いて越境している」というケースも珍しくありません。
例えば、新築直後は問題がなくても、数年かけて徐々にブロックが傾き、隣地へ数センチ越境するケースがあります。見た目では小さな問題でも、法的には越境物として扱われる可能性があります。
覚書とは何か?サインするとどうなるのか
越境問題では、ハウスメーカーや不動産会社から「覚書」の締結を提案されることがあります。
一般的な内容としては、以下のようなものです。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 越境の認識 | 双方が越境状態を確認している |
| 将来の対応 | 建替え時や改修時に越境を解消する |
| 費用負担 | 越境側が撤去・是正費用を負担する |
| 境界確認 | 土地所有権そのものは変更しない |
このような覚書は、トラブルの拡大防止や将来の売却時の説明資料として利用されることがあります。
ただし、覚書は「今すぐ直さなくてもよい」という意味合いを含む場合が多いため、納得できない場合は慎重に判断したほうがよいケースもあります。
特に重要なのは、覚書を交わしたことで『現状を容認した』と受け取られる可能性がある点です。
今すぐ是正を求めることは可能なのか
越境物については、本来であれば所有者に是正を求める考え方があります。
ただし現実的には、以下の事情から「将来是正」で落ち着くケースも少なくありません。
- 越境が軽微である
- 撤去工事の影響が大きい
- 新築同士で関係悪化を避けたい
- 施工会社同士の責任範囲が曖昧
一方で、分譲地造成やブロック施工に不動産会社が関与していた場合、造成段階の施工責任が問題になる可能性もあります。
例えば、造成会社が設置したブロックが最初から傾いていた場合、本来は施工側の是正対象として扱われるべきケースも考えられます。
そのため、「今後建替え時に直す」という提案だけでなく、次の点を確認しておくことが重要です。
- 誰が施工したブロックなのか
- 越境発生原因は何か
- 施工不良の可能性はないか
- 境界確定図との差異はあるか
場合によっては、第三者の土地家屋調査士へ相談するケースもあります。
越境状態は売却時にマイナス査定になるのか
数年以内に売却予定がある場合、越境問題は気になるポイントです。
実際には、越境の内容や整理状況によって査定や売却難易度は変わります。
覚書があると売却しやすい場合もある
越境問題が完全未整理の状態よりも、双方署名済みの覚書が存在するほうが、買主や不動産会社が安心するケースがあります。
特に以下のような状態だと比較的説明しやすくなります。
- 境界確定済み
- 越境範囲が明確
- 将来の是正ルールが書面化されている
ただし買主によっては嫌がられる
一方で、「越境あり」という事実だけで購入を避ける人もいます。
特に住宅ローン審査や将来再売却を気にする買主は慎重になる傾向があります。
例えば、同条件の物件が並んだ場合、境界問題がない物件のほうが選ばれやすいケースはあります。
そのため、将来売却予定があるなら、可能な限り現時点で是正できるかを確認する価値はあります。
ハウスメーカー任せにしないほうがよい理由
新築時のトラブルでは、ハウスメーカーが窓口になることが多いですが、必ずしも施主と利害が一致するとは限りません。
ハウスメーカーとしては、近隣トラブルを穏便に終わらせたい意向が優先される場合があります。
一方で施主側としては、将来売却や資産価値への影響を重視したいケースもあります。
そのため、以下の資料は自分でも保管しておくことが重要です。
- 境界確定図
- 測量図
- 越境箇所の写真
- 覚書案
- 施工経緯の説明資料
将来的に売却する際、これらの資料があるだけでも説明がスムーズになります。
まとめ
ブロック塀の越境問題は、新築分譲地でも発生することがあり、決して珍しいケースではありません。
ただし、「小さい越境だから問題ない」と放置すると、将来の売却や近隣トラブルに発展する可能性もあります。
覚書は実務上よく使われる対応方法ですが、現状容認に近い意味を持つ場合もあるため、内容を十分確認したうえで判断することが大切です。
特に数年以内に売却予定がある場合は、越境状態をどこまで整理できるかが重要になります。必要に応じて、土地家屋調査士や不動産に詳しい専門家へ相談しながら進めると安心です。


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