相続中の土地に見知らぬ人が住んでいることが発覚した場合、適切な対応を取ることが重要です。特に、長期間住んでいる可能性がある場合、民法162条による「時効取得」の問題も考慮する必要があります。本記事では、このようなケースでの対応策や土地の売却方法について解説します。
まず確認すべきポイント
相続した土地に知らない人が住んでいる場合、次の点を確認することが重要です。
- その人が住み始めた時期 – 20年以上住んでいる場合、時効取得の可能性がある。
- 土地の登記情報 – 最新の登記簿謄本を取得し、所有権が誰になっているのかを確認。
- 賃貸契約の有無 – 過去に父親が貸していた可能性があるため、契約書などの記録を探す。
- 居住者の身元 – どのような人物が住んでいるのか、近隣住民などから情報収集する。
「時効取得」の可能性について
日本の民法162条では、20年間所有の意思を持ち、継続的に土地を占有していた場合、その人が所有権を取得できる「取得時効」が成立する可能性があります。ただし、次の条件が必要です。
- 20年間、所有者の許可なしに土地を使用していた。
- 他の権利者から異議がなかった。
ただし、時効取得が成立するには、居住者側が裁判で「時効の援用」を行う必要があります。
土地を売却するための手続き
土地を売却するためには、以下の手順を踏むことが重要です。
1. まず登記を完了させる
相続登記が未完了の場合、売却ができません。法務局で登記手続きを進めましょう。
2. 居住者に退去を求める
時効取得が成立していなければ、所有者として居住者に退去を求めることが可能です。具体的な方法としては以下の手順を取ります。
- 内容証明郵便で通知 – まずは正式な通知を送り、退去を求めます。
- 交渉 – 直接話し合いを行い、円満に解決する方法を探ります。
- 法的措置 – 交渉が難航する場合、弁護士に相談し「不法占拠者」に対する退去請求を行います。
3. 売却準備を進める
住人の退去が完了したら、土地の売却手続きを進めます。スムーズに売却するためには、不動産会社に相談し、適切な査定を受けることが重要です。
まとめ
相続した土地に見知らぬ人が住んでいる場合、まずは登記や賃貸契約の有無を確認し、時効取得の可能性を検討することが大切です。速やかに対処することで、スムーズな売却が可能になります。トラブル回避のためにも、弁護士や不動産専門家への相談を検討しましょう。
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