不動産投資を行っている方にとって、譲渡所得の計算や税務処理は非常に重要です。特に複数の不動産を売却する場合、譲渡益と譲渡損失を内部通算して相殺できるかどうかは、税額を大きく左右します。本記事では、物件Aと物件Bの譲渡損益を内部通算する方法と、課税対象となる差額について説明します。
不動産の譲渡所得と内部通算について
不動産を売却すると、その譲渡所得が発生します。譲渡所得は「譲渡収入 – 譲渡費用 – 取得費」で計算されます。もし譲渡益が発生した場合、税金が課されますが、譲渡損失がある場合には、他の所得と相殺することが可能です。この相殺を「内部通算」と言います。
ただし、内部通算ができるのは、譲渡所得が同じ種類である場合に限ります。具体的には、長期譲渡所得と短期譲渡所得を相殺することはできません。したがって、物件A(長期譲渡)と物件B(短期譲渡)の損益を相殺することはできないという点に注意が必要です。
物件Aと物件Bの譲渡損益の計算
物件Aは2018年に取得したもので、譲渡損失が500万円とのことですが、これは長期譲渡所得に該当します。物件Bは2022年に取得し、譲渡益が700万円とのことですが、これは短期譲渡所得に該当します。
長期譲渡所得と短期譲渡所得は、内部通算ができないため、物件Aの損失と物件Bの利益を相殺することはできません。そのため、物件Aの損失500万円は、他の所得(例えば給与所得)と相殺することが可能です。
物件Bの課税対象と税率について
物件Bは短期譲渡所得に該当するため、その利益700万円に対して課税されます。短期譲渡所得の場合、譲渡日から取得日までの期間が5年以下であるため、税率が高く設定されています。具体的には、課税対象となる利益の税率は約39%程度です。
物件Bの譲渡益700万円のうち、内部通算で相殺されない200万円が課税対象となります。この200万円に対して約39%の税率が適用され、税金が計算されます。
内部通算と税額の計算例
例えば、物件Aの譲渡損失500万円を他の所得と相殺し、物件Bの譲渡益700万円に対して、200万円が課税対象となる場合、課税額は以下のように計算できます。
- 課税対象となる利益200万円
- 税率約39%
- 課税額 = 200万円 × 39% = 78万円
したがって、物件Bの譲渡益のうち200万円に対して、約78万円の税金が課されることになります。
まとめ
物件Aと物件Bの譲渡所得は、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分類されるため、内部通算して利益を相殺することはできません。物件Aの譲渡損失は、他の所得と相殺することができますが、物件Bの譲渡益200万円に対しては、約39%の税率が適用されることになります。
不動産売却時の税務処理は複雑な部分も多いため、具体的な事例については税理士などの専門家に相談することをお勧めします。


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