相続した山林の管理を続けていると、「補助金が減っている」「伐採できない」「木の旬が過ぎた」など、思わぬ問題に直面することがあります。この記事では、樹齢50年以上の杉や檜を所有している方に向けて、山林の経済的価値の変化や補助金が減る理由をわかりやすく解説します。
山林の「旬が過ぎた」とはどういう意味か
木材には、人間と同じように「成長期」と「老化期」があります。杉や檜の場合、一般的に50〜60年ほどで伐採適齢期(収穫のピーク)を迎えるとされています。それ以降は年輪の成長が鈍化し、内部に空洞ができるなど品質が低下することがあるため、「旬を過ぎた」と表現されます。
特に、伐採後の再造林が前提となる森林経営では、伐採した後に次世代の植林が求められるため、高齢化した森林は経済的にも扱いづらくなります。これは木材市場でも評価が下がる要因となっています。
間伐補助金が減る理由
間伐補助金は、森林の成長段階や施業内容に応じて交付されるため、補助の対象期間が終わると金額が減ることがあります。また、補助金の対象面積や本数が減る場合もあります。たとえば、以前より間伐の必要性が低下している(密度が下がった)場合や、対象となる樹齢の基準を超えている場合は、補助金額が減額されます。
さらに、国や自治体の予算配分、森林組合の事業計画によっても補助金額が変動します。森林組合に管理を委託している場合は、どのような補助金制度を利用しているかを確認することが大切です。
なぜ伐採ができないのか
近年、伐採後に再造林を行う担い手が不足しており、特に地方の森林組合では「作業員不足」が深刻な問題となっています。そのため、「伐採したくても植え直す人がいない」状態が続いているのです。
再造林には多額の費用がかかるため、伐採を行う際には再造林補助金や助成金を活用する必要があります。しかし、制度の申請や作業手配に時間がかかることも多く、すぐに伐採を実施できないケースも少なくありません。
都市部に住んでいる所有者ができる対応
遠方に住んでいても、山林の現状を知ることは可能です。まずは森林組合や自治体の林業担当課に相談し、管理計画書や伐採・間伐の実施状況を確認しましょう。また、地元の林業コンサルタントや森林評価士に依頼して、現地調査を行うのも有効です。
もし管理を継続するのが難しい場合は、森林経営管理制度を活用して自治体に経営委託する方法もあります。この制度を使えば、山林を放置せずに有効活用することができます。
山林の価値を維持するためのポイント
木材価格の変動や人手不足の影響で、放置された山林の価値は徐々に下がっています。価値を維持するためには、定期的な間伐や境界の確認を行うことが重要です。また、森林環境譲与税の制度を活用することで、地域全体で森林の再生に取り組むことも可能です。
樹齢が進んだ山林でも、適切な管理や活用方法を見直すことで、将来的な価値を守ることができます。
まとめ
樹齢50年以上の杉や檜は一見価値が高そうに見えますが、実際には伐採や再造林のコスト、人手不足、補助金制度の変化などにより、収益性が下がるケースもあります。「旬を過ぎた」とは木の品質や経済的価値が低下した状態を指します。定期的な現地確認と、行政・森林組合との連携が今後の山林経営には欠かせません。


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