マンションの総会における定足数や決議条件について、区分所有法と管理規約の関係を理解することは、マンション管理において非常に重要です。特に、区分所有法と管理規約で異なる定めがある場合、その適用に関して混乱が生じることがあります。この記事では、定足数や決議条件に関する理解を深め、区分所有法に違反しない管理規約の制定について解説します。
区分所有法における集会の議事決定基準
区分所有法第39条では、集会の議事が「この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する」とされています。つまり、区分所有法における標準的な決議条件は、区分所有者数の過半数、議決権数の過半数です。これにより、基本的には過半数の賛成で決議が成立します。
標準管理規約における定足数と決議条件
標準管理規約では、普通決議の定足数が組合員数・議決権総数の半数以上とされ、決議条件はその過半数となります。また、特別決議に関しては、定足数の定めはなく、決議条件は組合員数・議決権総数の3/4以上とされています。つまり、特別決議はより厳しい条件が求められます。
区分所有法と管理規約の関係
区分所有法と管理規約の関係については、法律で定められた範囲内で規約を定めることが求められます。管理規約が区分所有法に抵触することは許されず、規約で定めた内容が法律に反する場合、その規定は無効となります。例えば、定足数や決議条件に関して、区分所有法に違反するような規定を設けた場合、その規定は無効となります。
したがって、管理規約における定足数や決議条件の変更については、区分所有法に違反しない範囲での調整が必要です。具体的には、区分所有法における過半数という基準を下回る定足数を設定することや、議決権の3/4未満で特別決議を成立させることは法律違反となります。
実際の管理規約の定め例と適法性
管理規約で定足数や決議条件を設定する際の例として、以下のような定めがあります。
- ① 定足数の定めがなく、普通・特別決議とも所有者及び議決権の各1/3で決する。
- ② 定足数の定めがなく、普通・特別決議とも所有者及び議決権の各2/3で決する。
- ③ 定足数は、普通・特別決議とも所有者及び議決権の各1/3とし、所有者及び議決権の各1/3で決する。
- ④ 定足数は、普通・特別決議とも所有者及び議決権の各2/3とし、所有者及び議決権の各2/3で決する。
これらの例について、区分所有法に反することはなく、管理規約で別途定めた定足数や決議条件が有効です。しかし、区分所有法の規定に抵触しないよう、適切に管理規約を制定することが重要です。
まとめ
区分所有法と管理規約の関係については、法律の範囲内で管理規約を制定することが求められます。定足数や決議条件を設定する際には、区分所有法の基準を超えるような規定は無効となりますので、注意が必要です。適法な管理規約の制定と、適切な集会運営を行うことが、マンション管理を円滑に進めるために重要です。
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