固定資産税納税通知書に記載されている土地と建物の評価額と、遺産相続の際に司法書士が作成した評価レポートに記載された評価額に差がある場合、どちらが正しいのか気になることもあります。特に1000万円以上の差があると、その差が何に起因しているのか不安になることも多いでしょう。この記事では、固定資産税の評価額と遺産相続時の評価額の違いについて詳しく解説し、どちらが実勢価格に近いのかを考察します。
固定資産税の評価額とは?
固定資産税の評価額は、毎年市町村が行う評価に基づき決定されます。この評価は、土地や建物の時価とは必ずしも一致せず、特に税金を計算するための基準として使用されます。固定資産税の評価額は、一般的には「公示価格の70%」を基準として算出されており、市場価格とは異なる場合が多いです。
固定資産税評価額は、主に土地や建物の実際の取引価格を反映したものではなく、税金の計算を簡素化するために行われるため、実勢価格よりも低くなることが一般的です。
遺産相続時の評価額とは?
遺産相続時に使用される土地・建物の評価額は、相続税の申告のために使われる「相続税評価額」に基づいています。相続税評価額は、相続が発生した時点での不動産の市場価値を反映しており、通常、路線価や公示価格などを元に算出されます。
相続税評価額は、固定資産税評価額と同じく市場価格とは必ずしも一致しませんが、一般的には相続税を軽減するために、固定資産税評価額よりも高い価格になることが多いです。また、評価方法においても、細かい規定や相続時の条件によって異なる場合があります。
差額が生じる理由
質問者が示したように、固定資産税評価額と遺産相続評価額に1000万円以上の差がある場合、いくつかの理由が考えられます。
- 評価基準の違い:固定資産税評価額は税務上の基準に基づき、相続税評価額は相続税を計算するために使われます。このため、同じ不動産でも評価額が異なることがあります。
- 市場価値との乖離:固定資産税の評価額は、時価と異なる場合があります。特に、不動産の市場価値が大きく変動している場合、その差は顕著になります。
- 土地や建物の個別の条件:相続税評価額は、建物の状態や土地の利用状況、法的な規制などを考慮して評価されるため、固定資産税の評価額と比較して高くなることがあります。
どちらが実勢価格に近いのか?
実勢価格(市場価格)に近い評価額は、一般的に相続税評価額の方が高く、より実際の取引価格に近いことが多いです。固定資産税評価額は、あくまで税金を算出するための基準であり、実際の取引価格には乖離が生じることがあります。
そのため、実勢価格に近い評価額を知りたい場合は、不動産鑑定士による鑑定や、実際の売買事例を参考にすることが重要です。もし、市場で売買する場合には、相続税評価額が参考になることが多いでしょう。
まとめ
固定資産税評価額と遺産相続評価額には、評価基準や目的において違いがあるため、それぞれの評価額を直接比較するのは難しいことがあります。実勢価格に近い評価額を知りたい場合は、相続税評価額の方が市場価格に近いことが多いですが、個別の事情や不動産の状態により、差が生じることがあります。もし、詳細な評価額が必要な場合は、不動産鑑定士に依頼するのが最も正確です。
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