火災のニュースで「鉄筋コンクリート造の建物が炎上」といった映像を見ることがあります。レンガ造りやブロック構造も頑丈な印象がありますが、「燃えない建物」というイメージは正しいのでしょうか?
実際には鉄筋やレンガなどの不燃材で作られた建物でも火災で激しく燃え上がることがあるのです。この記事では、構造材が不燃であっても炎上する理由や、建物火災のリアルなメカニズムについて詳しく解説します。
鉄筋コンクリート造は「燃えない」ではなく「燃えにくい」
鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造(S造)は、構造体そのものが燃えることはありません。コンクリートや鉄は不燃材として扱われており、木造よりも火に対して強いことは確かです。
しかし、建物内部にある可燃物──たとえば壁紙、床材、家具、家電製品、書籍などが火元になると、建物全体が大きな炎に包まれるような火災に発展します。
つまり、「構造は燃えないが、中身が燃える」というのが現実なのです。
レンガやブロック造も火に強いが“完全防火”ではない
レンガ造やブロック造の建物も、基本的には外壁や構造体が火を通しにくいため、延焼しにくい特性があります。
ただし、内装材や断熱材に可燃性の素材が使われていると、そこから火災が拡大します。特に、近年の建築物では省エネ目的で発泡プラスチック系の断熱材が多用されており、これが火災時に有毒ガスを出して燃え広がる原因になることもあります。
キーウなどで見られた火災の実態:なぜ大炎上するのか?
ロシア・ウクライナ戦争での報道映像では、コンクリート建築が激しく炎上している場面が度々映し出されます。
実際に使われている建物の構造はRC造やS造が多いですが、ミサイルなどの爆発物による破壊力は非常に強力で、構造材だけでなく内部のあらゆる可燃物を一気に発火させてしまいます。
また、高温で鉄が変形することにより、建物自体が崩落する場合もあります。火災による被害だけでなく、構造への直接的なダメージが深刻化する要因です。
燃えない建物を作るには何が必要か?
建物を本当に「燃えにくく」「延焼しにくく」するには、構造体だけでなく以下の点にも注意する必要があります。
- 内装材・断熱材も不燃材を選定
- 家具・家電の配置にも配慮(通電火災の原因となる場合あり)
- 火災警報器・スプリンクラーの設置
- 定期的な防災点検・避難訓練
住宅や商業施設においては、法令に従った防火区画の設置や、防火戸の導入なども効果的です。
まとめ:鉄筋やレンガの建物も「中身」で燃える
鉄筋やレンガなどの構造材は火に強くても、内部にある可燃物や断熱材が燃えれば、火災は激しく広がる可能性があるというのが現実です。
防火性能を高めるためには、単に構造材を不燃にするだけでなく、内装材・家具・防災設備までトータルに考える必要があります。
災害時に建物の安全性を高めたい方、防火性の高い住まい選びをしたい方は、ぜひこの記事を参考に、建築素材や防火対策のポイントを見直してみてください。
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