家族の名義になっている土地、特に法人名義で所有されている土地について「整理したいけれど、名義人が認知症で対応が難しい」「どこの土地かも把握できない」というケースは意外と多くあります。相続や財産整理の準備として、早めに動くことはとても重要です。この記事では、認知症の家族と関わる法人名義の土地を整理する際の手順や、相談先について解説します。
まずは登記簿を確認して土地の所在を特定しよう
権利書(登記識別情報通知など)が残っている場合、そこに記載されている「地番」や「所在」をもとに、土地の登記簿を法務局で取得することが可能です。地番がわからない場合でも、所在地がある程度分かっていれば、法務局で「ブルーマップ」(地番と住所の対応地図)を使って調査できます。
登記簿を取得することで、その土地の所有者が誰か(法人名義か個人名義か)、抵当権の有無、住所、面積などの情報を把握できます。法人名義であれば、法人の代表者名や登記住所も記載されているため、今後の手続きの出発点となります。
法人名義の土地は誰が管理できるのか
法人名義の土地については、原則として法人の「代表取締役」が管理・処分する権限を持ちます。しかし、その代表者(たとえば叔父)が認知症で判断能力を失っている場合、そのままでは手続きが進みません。
この場合、成年後見制度を利用することが現実的な解決策になります。家庭裁判所に申し立てを行い、法的に選任された後見人が法人の登記変更や不動産売却の手続きを代行する形になります。ただし、法人の形態(株式会社・合同会社など)によって必要な手続きや判断も異なるため、専門家のサポートが必要です。
まず相談すべき専門機関・窓口
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司法書士:不動産登記や法人登記の専門家であり、土地の登記簿取得や法人の代表者変更、成年後見の申し立てまでトータルで相談できます。
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弁護士:相続や認知症問題、法人関係のトラブルに強い弁護士であれば、複雑なケースでも対応可能です。
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法務局:土地の情報を調べる第一歩として、最寄りの法務局で登記簿を取得し、所在不明な土地を確認しましょう。
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市区町村の無料法律相談:地域によっては無料の法律相談窓口を設けており、初期相談に適しています。
認知症と土地の整理を考えるうえでの注意点
認知症によって意思能力を失った方が名義人となっている土地は、原則として勝手に処分(売却・譲渡)することができません。これは「本人の財産を守る」ための法律上の保護ですが、遺された家族にとっては手続き上の壁になります。
そのため、できるだけ早く成年後見制度の申立てを行い、信頼できる後見人を選任することが大切です。裁判所が選任する後見人には、親族が選ばれる場合もありますが、専門職(司法書士・弁護士など)が指定されることもあります。
土地を整理するための実際のステップ
- 法務局で権利書に記載のある地番から登記簿を取得する
- 法人名義の代表者が誰か、現在の登記状態を確認する
- 認知症である場合、成年後見制度の申立てを家庭裁判所に行う
- 後見人が就任後、法人登記の変更・土地の売却などの手続きが可能に
このようなステップを踏むことで、スムーズに土地の整理が進められるようになります。
まとめ
祖父や叔父が認知症で、法人名義の土地の所在や管理ができない場合は、司法書士や弁護士などの専門家に早めに相談することが非常に重要です。成年後見制度の活用や登記簿の調査を通じて、今後の相続や資産整理に備えることができます。気になる土地や名義情報がある場合は、まずは権利書を手に取り、専門機関に相談することから始めましょう。
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