賃貸アパートの共有スペースを大家が占有しても問題ないのか?法的・実務的観点から解説

賃貸物件

賃貸アパートに住んでいると、共有スペースの使い方について疑問やトラブルを感じることがあるかもしれません。特に、大家が自らのビジネス用途で共有部分を使用している場合、その正当性や入居者側の権利が気になるところです。この記事では、共有スペースを大家が物置として使用する行為について、法的・実務的な観点から詳しく解説します。

共有スペースとは何か?その定義と使用目的

共有スペースとは、アパートの入居者全員が共同で利用できる空間のことを指します。具体的には、階段、通路、エントランス、駐輪場、ごみ置き場などが該当します。

これらのスペースは、すべての居住者の安全性や利便性のために設けられており、原則として私的な利用(物置、商品在庫の保管など)は禁止されています。入居者は家賃や共益費の一部としてこれらのスペースの維持費を負担しており、その分の権利があると考えられます。

大家が共有スペースを私的利用するのは合法か?

大家が物件の所有者であるとしても、共有スペースを自由に使えるわけではありません。賃貸借契約が成立した時点で、共有部分に関しては使用権の一部が入居者に移ります

民法や賃貸借契約においても、共有部分は原則「共同での利用」を前提としており、特定の個人(たとえ大家であっても)が占有する行為は、契約違反や不法占拠とみなされる可能性があります。

実際のトラブル事例と対応方法

実際にあった事例として、大家が倉庫代わりに階段下のスペースを使っていたケースでは、入居者が管理会社に連絡したことで、荷物は速やかに撤去されました。

このような場合、まずは管理会社や仲介業者に相談するのが第一ステップです。直接大家に伝えるのが難しい場合でも、第三者を通じて伝えることでスムーズに解決することがあります。また、共有スペースの写真を撮っておくなど、状況を記録しておくことも大切です。

共益費を払っている入居者の立場と主張できる権利

共益費は、共有部分の清掃、メンテナンス、防犯灯などの維持管理に充てられる費用です。そのため、入居者は対価として、共有部分を自由かつ安全に利用する権利を有しているといえます。

この権利を侵害されたと感じる場合、管理会社への連絡 → 内容証明での通知 → 消費者センターや法テラスへの相談など、段階的な対応が可能です。状況によっては、賃料減額請求や契約解除の正当事由として認められることもあります。

トラブルを未然に防ぐためのポイント

物件選びの段階で、管理体制がしっかりしているかを確認することが重要です。たとえば、「管理会社が定期的に巡回している」「入居者専用の連絡窓口がある」などの情報は、トラブル回避の目安になります。

また、契約前に共有スペースの使われ方を現地で確認しておくことも有効です。すでに荷物などが置かれている場合は、その状態が一時的なものなのか、恒常的なものなのかを管理者に確認しましょう。

まとめ:大家の私的使用は原則NG、入居者の声を大切に

大家が共有スペースを在庫置き場などで占有することは、たとえ所有者であっても正当な理由なしには認められません。入居者は共益費を支払い、使用権を持っているため、その空間を快適かつ安全に使える権利があります。

もし共有スペースの使い方に疑問や不満を感じたら、管理会社・専門機関に相談することをおすすめします。小さな不満でも、早めに行動することで快適な住環境を取り戻すきっかけになります。

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