太陽光発電システムを導入する際、売電開始の遅延は家計や収支計画に大きな影響を与える要素です。売電収入を見込んでいた期間に収入が得られなかった場合、どの程度の補償が妥当かを理解しておくことは非常に重要です。本記事では、13ヶ月間の売電開始遅延に対して42,000円の補償金額が提示されたケースを元に、その妥当性について検証していきます。
補償額の計算根拠を読み解く
提示された金額は以下のような数式に基づいています。
補償額 = 年間発電量 ÷ 12 × 遅延月数 × 売電率 × 売電単価
この方式は合理的な計算であり、売電できなかった期間分の発電量に売電率と単価をかけたものとなっています。以下に実際の数値をあてはめてみます。
項目 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
年間発電量 (A) | 4,743kWh | メーカー推定値 |
遅延月数 (D) | 13ヶ月 | 実際の遅れ期間 |
売電率 (S) | 51% | 国交省資料より |
売電単価 (M) | 16円 | 2023〜2024年度FIT |
補償額 | 約41,929円 | 千円単位切り上げで42,000円 |
上記のように、提示された金額は明確な根拠に基づいており、計算上は適正と言えます。
納得できるかどうかは「期待値」と「実害」の差
発電システムを導入した際、多くの家庭は売電収入を含めて家計を考えています。13ヶ月もの間収入がなかったことに対して、4万円強の補償が妥当かどうかは「損失感」とも関わってきます。
例えば、自家消費による電気代の節約や、導入費用の回収見込みを加味して考えると、「もっと補償されてもいいのでは?」と感じるのも自然なことです。
売電率51%は実際的か?
この試算では、国交省の資料にある“4kWの売電率=51%”を使っています。これは一般的な家庭における自家消費と売電の比率として広く採用されているものですが、実際には自家消費が少ない家庭では売電率が高くなる可能性もあります。
そのため、ご自身の家庭の消費スタイルが大きく売電寄りであれば、51%ではやや低めに見積もられているかもしれません。
追加補償や交渉の余地はあるか?
算定根拠が合理的である以上、追加補償を求めるのは難しいかもしれません。ただし、次のような要因があれば、交渉の余地は残されています。
- 遅延の原因が明確に業者側の過失である
- 事前説明や連絡が不十分だった
- 補償に納得できない理由が合理的に説明できる
たとえば、申請の取り消しなどがこちらの責任ではなかった場合、さらに配慮されるべきと主張することも可能です。
まとめ:提示された42,000円は妥当性が高いが、納得感次第で対応を
今回の補償金額42,000円は、業界の一般的な算定式に従って計算されており、数字上は妥当な水準です。ただし、それで納得がいくかどうかは、感情的・実務的な面も大きく影響します。
納得できない場合は、具体的な根拠や要望を添えて業者と話し合うことをおすすめします。あくまで交渉は冷静に、記録を残す形で進めましょう。
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