転職後に営業成績の不振を理由に降格され、年俸が大幅に減少すると、生活に大きな影響を及ぼすことになります。特に、住宅ローンや子どもの教育費などの支出がある場合、収入減は深刻な問題です。このような状況で「会社都合退職」とすることは可能なのか、また適切な対処法について詳しく解説します。
1. 会社都合退職とは?
会社都合退職とは、労働者側に過失がないにもかかわらず、会社の都合により退職せざるを得なくなるケースを指します。具体的には、以下のような状況が会社都合退職として認められる可能性があります。
- 整理解雇(リストラ)
- 倒産や事業縮小による解雇
- 労働条件の大幅な変更(給与減少、勤務地変更など)
- ハラスメントや不当な待遇
単なる降格や給与減少だけでは会社都合退職と認められない場合もありますが、減給幅が大きく、事実上働き続けることが困難になる場合には、会社都合退職が適用される可能性があります。
2. 年収900万円から600万円への減額は会社都合になるか?
年収900万円から600万円への減額は、単純に考えると「労働条件の大幅な変更」に該当する可能性があります。特に、年収が約33%減少するため、経済的に大きな影響を受けることになります。
ただし、企業が給与体系を変更したり、業績不振を理由に減額することは一概に違法とは言えません。しかし、労働契約や就業規則に明記されていない形で、一方的に給与を下げる場合は、不当な労働条件変更として問題になることがあります。
3. 会社都合退職が認められる条件
会社都合退職として認められるためには、以下のような要件を満たす必要があります。
- 給与の大幅な減額(一般的には30%以上の減額が目安)
- 降格や役職の剥奪が一方的に行われた
- 退職を迫るような圧力(パワハラや退職勧奨)があった
- 会社側の事情で事実上働き続けることが難しくなった
今回のケースでは、給与が900万円から600万円に減額され、役職もなくなっているため、条件を満たしている可能性が高いです。
4. 会社都合退職を申請する手順
会社都合退職を希望する場合、以下の手順で進めることが重要です。
① 会社に異議申し立てを行う
まず、会社側に対して「給与の大幅な減額は生活に支障が出るため、会社都合退職として扱ってほしい」と正式に申し入れましょう。この際、書面(メールや手紙など)でやり取りを残しておくことが重要です。
② 労働基準監督署やハローワークに相談
会社が会社都合退職を認めない場合、労働基準監督署やハローワークに相談することで、判断を仰ぐことができます。特にハローワークでは、会社都合退職として認められる可能性がある場合、自己都合退職を会社都合退職に変更することも可能です。
③ 証拠を集める
給与明細、降格通知、会社とのメールのやり取りなど、給与減額や待遇変更の証拠を集めましょう。これらがあると、会社都合退職の申請をする際に有利になります。
5. 会社都合退職になると何が違うのか?
会社都合退職になると、以下のようなメリットがあります。
- 失業保険の給付開始が早い:自己都合退職の場合、3か月の待機期間があるが、会社都合退職ではすぐに失業保険を受給できる。
- 失業保険の給付期間が長い:自己都合退職よりも給付期間が長くなることが多い。
- 再就職支援が受けられる:ハローワークでの支援が手厚くなる可能性がある。
これらの点を踏まえると、会社都合退職として認められるように手続きを進めることが、経済的なリスクを軽減するために重要です。
6. まとめ:会社都合退職の可能性は高いが、慎重な対応が必要
年収の大幅な減額と役職の剥奪が同時に行われた場合、会社都合退職として認められる可能性は高いです。しかし、会社がそれを認めない場合もあるため、まずは正式に異議を申し立て、必要であれば労働基準監督署やハローワークに相談しましょう。
会社都合退職になることで、失業保険の受給期間が長くなり、経済的な負担が軽減されます。給与の減額に納得できない場合は、証拠をしっかり集め、適切な対応をとることが重要です。
コメント