平成17年の法改正以前に不動産を取得した場合、「登記済権利証(いわゆる権利証)」が発行されていました。現在の「登記識別情報」と異なり、売買や相続、担保設定などの取引で重要な役割を果たしていました。
では、過去に取得した「登記済権利証」や関連書類は、不動産を相続や売却する際にすべて必要なのでしょうか? 本記事では、これらの書類の役割と必要性について詳しく解説します。
登記済権利証とは?
平成17年の改正以前、不動産の所有権移転登記が完了すると、「登記済権利証」が交付されていました。この書類は、不動産を売却・相続・担保設定する際に本人確認の証拠として使われました。
登記済権利証の主な構成
- 登記申請書 – 申請時に提出された書類の写し
- 不動産の表示 – 土地や建物の詳細情報
- 登記官の押印 – 登記が完了した証明
相続や売却時に必要な書類は?
質問者のケース(平成5年購入)では、以下の書類が保管されています。
- ① H5年の「登記済権利証」
- ② H8年の「証書(弁済)」と「登記嘱託書」
- ③ H10年の「証書(放棄)」と「登記嘱託書」
- ④ H14年のローン完済関連(書類は未確認)
これらの書類の必要性について解説します。
1. 売却時に必要な書類
不動産を売却する際、通常以下の書類が必要です。
- 登記済権利証(または登記識別情報)
- 身分証明書
- 印鑑証明書(3か月以内のもの)
- 固定資産税納税通知書
したがって、①の「登記済権利証」は必須です。
②と③の書類は、抵当権設定・抹消の経過を示すものですが、法務局で登記情報を確認できるため、売却時には必須ではありません。
2. 相続時に必要な書類
不動産を相続する場合、以下の書類が必要です。
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(必要に応じて)
- 登記済権利証(または登記識別情報)
- 固定資産税納税通知書
したがって、相続時も①の「登記済権利証」が必要です。
②③の書類は、登記履歴が法務局で確認できるため、通常は不要です。
④完済に関する書類の有無は問題か?
④の完済に伴う書類(完済証明書など)が見当たらない点についてですが、ローン完済後の登記簿謄本(乙区)が「抵当権抹消」となっているため、特に問題はありません。
完済後の書類(金融機関からの通知書等)は、売却や相続には直接関係しません。ただし、記録として保管しておくと安心です。
まとめ
平成17年の法改正以前に取得した「登記済権利証」は、現在も不動産売却・相続時に必要となる重要書類です。
- ①の「登記済権利証」は売却・相続時に必須。
- ②③の「登記嘱託書」は、法務局で登記情報が確認できるため通常は不要。
- ④の完済関連書類は、登記簿で抹消が確認できるため不要だが、保管しておくと安心。
「登記済権利証」は、万が一紛失すると手続きが煩雑になるため、厳重に保管しましょう。
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