住宅購入時に、頭金を多めに支払うか、それとも運用に回して後から繰り上げ返済をするかは、多くの人が悩むポイントです。今回のケースでは、フラット35(1.6%金利、35年ローン)を利用し、13年後に繰り上げ返済する2つの方法について、どちらがよりお得かをシミュレーションして比較します。
1. それぞれのケースの条件
本記事では、以下の2つのケースを比較します。
- ケース①: 頭金2000万円を支払い、残り2000万円を借入
- ケース②: 頭金0円で4000万円を借入し、2000万円は年1%で運用
どちらのケースも13年後に繰り上げ返済を行う前提で、総支払額を計算します。
2. 各ケースのシミュレーション結果
ケース①:頭金2000万円を支払い、2000万円を借入
・借入額:2000万円
・金利:1.6%
・期間:35年(13年後に繰り上げ返済)
毎月の返済額:約62,180円
13年間の支払総額:約9,710,000円(うち利息分:約1,310,000円)
13年後の残債:約13,490,000円
13年後に全額繰り上げ返済すると、総支払額は約23,200,000円となります。
ケース②:頭金0円で4000万円借入し、2000万円を年1%で運用
・借入額:4000万円
・金利:1.6%
・期間:35年(13年後に繰り上げ返済)
毎月の返済額:約124,360円
13年間の支払総額:約19,420,000円(うち利息分:約2,620,000円)
13年後の残債:約26,980,000円
一方で、2000万円を1%の金利で運用した場合、13年後の運用資産は約22,800,000円になります。
これを元に繰り上げ返済すると、総支払額は約30,640,000円となります。
3. どちらがお得か?
ケース①: 総支払額 約23,200,000円
ケース②: 総支払額 約30,640,000円
このシミュレーションから、頭金を支払った方が約740万円お得であることがわかります。特に、住宅ローンの金利(1.6%)が運用利回り(1%)より高いため、ローンを減らす方が有利になります。
4. 住宅ローン控除の影響
住宅ローン控除(最大1%の控除)は、ローン残高が大きいほど節税効果が大きくなります。ただし、住宅ローン控除の期間(最大13年間)を過ぎるとその恩恵がなくなるため、13年後の繰り上げ返済を考慮すると、ケース②の方が控除の恩恵を少し多く受けられます。
5. 結論:どちらを選ぶべきか?
今回のシミュレーションでは、ケース①(頭金2000万円を支払う方)が有利となりました。
しかし、次の点も考慮が必要です。
- 手元資金の流動性を確保したいならケース②も一考の価値あり
- 運用利回りが1.6%以上で運用できるならケース②が有利になる可能性あり
- 住宅ローン控除の影響を受けるため、詳細なシミュレーションが必要
最終的には、将来的な収入状況やライフプランに合わせて判断するのが良いでしょう。
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