土地の売却を検討する際、登記簿上の地目と固定資産税の課税地目が異なることがあります。特に「登記簿上は山林だが、実際には畑として利用している」場合、売却価格の基準がどのように決まるのか疑問に思う方も多いでしょう。
登記簿の地目と課税地目の違いとは?
土地には「登記簿上の地目」と「課税地目(評価証明書上の地目)」という二つの異なる地目があります。
① 登記簿の地目
登記簿に記載される地目は、その土地の法的な区分を示します。地目変更の手続きを行わない限り、登記上の地目は変わりません。
- 登記地目は「山林」のまま
- 所有権移転登記の際も「山林」として扱われる
② 課税地目
一方、課税地目は実際の利用状況に基づいて市町村が判断し、固定資産税の計算に使用されます。
- 開墾して畑として利用していると「畑」として評価
- 固定資産税も農地の税率で計算される
売却価格の基準はどちらの地目に基づくのか?
土地の売却価格を決める際、どの地目が基準になるのかはケースによって異なります。
① 基本は登記簿の地目
不動産売買において、価格設定は登記簿の地目が基準となるのが一般的です。したがって、登記簿上「山林」であれば、山林としての評価額で売却することになります。
② 実際の利用状況が影響するケース
ただし、買主が畑として活用する前提で購入する場合、畑としての評価が考慮される可能性もあります。この場合、
- 土地の売買契約に「現況渡し」と明記
- 農地転用や地目変更の手続きを事前に相談
といった対応が求められます。
地目変更の手続きと注意点
売却前に「山林」から「畑」に変更したい場合は、地目変更登記の手続きが必要になります。
① 地目変更登記の流れ
- 現地調査(実際に畑として利用されていることを確認)
- 地目変更登記の申請(法務局へ申請)
- 変更後の固定資産税評価額の見直し
地目変更を行うことで、売却時に「畑」としての価格で交渉しやすくなります。
② 農地転用の確認
地目が「畑」になると、農地法の規制が関わる可能性があります。農地転用許可が必要になるケースもあるため、事前に市町村役場へ確認しておくことをおすすめします。
まとめ
土地の売却価格は、登記簿上の地目を基準に決まるのが一般的ですが、実際の利用状況によって交渉の余地があります。
より高い価格で売却したい場合は、地目変更登記や農地転用の可能性を検討し、買主の希望に合わせた売却方法を選択することが重要です。
売却前には、専門家(司法書士・不動産業者・行政書士など)に相談し、スムーズな手続きを進めましょう。
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