住宅の断熱性能を示す「断熱等級5」において、サッシがアルミである場合、本当に十分な断熱性を確保できるのか不安を感じる方も多いでしょう。また、結露の発生リスクや寒さ対策についても気になる点です。本記事では、断熱等級5とアルミサッシの関係、そして寒さが気になる場合のリフォーム方法について詳しく解説します。
断熱等級5とは?基準と性能
断熱等級5は、2022年に改定された住宅性能表示制度において設定された基準で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの断熱性能を持つ住宅を指します。具体的には、地域ごとに定められたUA値(外皮平均熱貫流率)の基準を満たしていることが条件となります。
地域区分 | UA値(W/m²K) |
---|---|
1・2地域(北海道・東北の一部) | 0.40以下 |
3地域(東北・北陸など) | 0.50以下 |
4地域(関東・東海・近畿など) | 0.60以下 |
関東地方であれば、UA値0.60以下を満たすことで断熱等級5と認定されます。
アルミサッシでも断熱等級5を満たすのか?
アルミサッシは、樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシと比較して熱伝導率が高く、外気の影響を受けやすいため、通常は断熱性能が低いとされています。しかし、以下の要素が組み合わさることで、断熱等級5の基準をクリアすることが可能になります。
- Low-Eガラスの採用:遮熱・断熱性能の高いガラスを採用することで熱損失を抑える。
- アルミ樹脂複合サッシ:外側はアルミ、内側を樹脂にすることで断熱性能を向上。
- 断熱材の充填:壁や床、天井に十分な断熱材を使用して全体のUA値を下げる。
そのため、サッシがアルミでも他の部分で断熱性能を高めれば、断熱等級5をクリアすることは可能です。
結露のリスクと対策
アルミサッシを使用すると、特に冬場に結露が発生しやすくなります。結露はカビや木材の劣化を引き起こすため、できるだけ抑える工夫が必要です。
結露を防ぐ方法
- 内窓の設置:樹脂製の内窓を追加することで、室内と外気の温度差を緩和し、結露を軽減できます。
- 換気をこまめに行う:湿気が溜まりやすい冬場は、適度に換気を行うことで結露の発生を防ぎます。
- 窓用断熱シートを貼る:窓に貼る断熱フィルムやシートを活用することで、表面温度を上げて結露を減少させます。
寒さを感じた場合のリフォーム方法
もし住んでから寒さが気になる場合は、次のようなリフォームが有効です。
1. 内窓(インナーサッシ)の設置
室内側に樹脂製の内窓を追加することで、二重窓の効果が得られます。これは、窓の断熱性能を飛躍的に向上させるだけでなく、防音効果も期待できます。
2. 窓のカバー工法による交換
「カバー工法」とは、既存のサッシ枠の上に新しい枠を取り付けて窓を交換する方法です。この工法のメリットは以下の通りです。
- 工事期間が短い:通常1日で完了。
- 費用を抑えられる:窓枠ごと交換するよりコストが安い。
- 断熱性向上:最新の樹脂サッシやLow-Eガラスを導入可能。
3. 断熱カーテンやブラインドの活用
コストを抑えた断熱対策として、以下のようなアイテムを使用するのもおすすめです。
- 断熱カーテン:厚手で保温性の高いカーテンを使用。
- ハニカム構造のブラインド:空気層を作ることで断熱効果を高める。
まとめ
断熱等級5の家でも、サッシがアルミである場合、十分な断熱性能が得られるかは建物全体の設計に依存します。Low-Eガラスの採用や、アルミ樹脂複合サッシを使用することで、基準を満たすことは可能ですが、結露のリスクには注意が必要です。
寒さや結露が気になる場合は、内窓の設置、カバー工法での窓交換、断熱カーテンやブラインドの活用などで対策が可能です。住んでから寒さを感じる場合は、これらの方法を検討して快適な住環境を実現しましょう。
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