マンション購入を検討する際、「住宅ローンを全額借りて、手元資金は投資に回した方が得か?」という疑問を持つ方は多いです。金利が1%で運用益が2%以上なら資産を増やせると考えるフィナンシャルプランナーもいますが、本当にその戦略がリスクのない選択肢なのか、慎重に判断する必要があります。
本記事では、住宅ローンを全額借りるメリットとリスク、手元資金を残して投資に回すべきかの判断基準について解説します。
住宅ローンを全額借りて投資するメリット
住宅ローンの金利が低い場合、手元資金を投資に回した方が良いとされる理由には、以下のようなメリットがあります。
1. 住宅ローンの金利は低く、長期間固定
現在の住宅ローン金利は、変動金利で0.5%~1.0%、固定金利でも1.5%~2.0%程度と低水準です。
このため、借入金利より高い利回りの運用ができれば、理論上は資産が増えることになります。
2. 住宅ローン控除が使える
住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が適用されるため、所得税や住民税の還付を受けられます。
例: 住宅ローン控除の仕組み
- 年末時点のローン残高の0.7%が控除(2024年以降の適用)
- 最大13年間適用(住宅性能によって異なる)
- 金利負担を相殺できる可能性がある
ローン控除を考慮すると、実質的な金利負担がさらに低くなるため、投資のリターンを期待しやすくなります。
3. 手元資金を投資に回せる
手元に現金を残すことで、資産運用の選択肢が広がります。
- 投資信託や株式などに分散投資
- 流動性を確保し、突発的な出費に対応
- 将来の繰上げ返済やリフォーム費用に備える
住宅ローンを全額借りるリスク
一方で、住宅ローンを全額借りることには、大きなリスクも伴います。
1. 変動金利のリスク
現在の低金利は将来も続く保証はなく、金利が上昇すれば返済負担が増加します。
例: 変動金利が上昇した場合
- 金利1.0% → 2.0%になった場合、総返済額が大幅に増加
- 毎月の返済額が数万円増える可能性
- 投資のリターンが想定通りにならなければ損失
2. 投資リターンの不確実性
投資で2%の利回りが得られるとは限らず、市場の変動により損失を出す可能性があります。特に、株式市場の暴落時には、元本割れリスクが高まります。
3. 返済負担が増えることで生活が不安定になる
住宅ローンの借入額が増えると、月々の支払いが増え、家計の柔軟性が失われる可能性があります。
また、
- 転職や病気で収入が減少した場合にローン返済が困難になる
- 投資に回した資金が必要になっても、すぐに引き出せない
「全額ローン+投資」を選ぶべき人の条件
全額ローンを選んでも問題がないのは、以下の条件を満たす場合です。
- 投資経験があり、リスク管理ができる
- 変動金利のリスクを理解し、金利上昇時に対応可能
- 一定の現金(生活費6ヶ月分以上)を確保している
- 今後のライフプラン(教育資金・老後資金)を考慮している
無理のない住宅ローンの組み方
住宅ローンを組む際に、リスクを最小限に抑える方法を紹介します。
1. 頭金を一部入れる
完全なフルローンではなく、頭金を20%程度入れると、返済負担が軽減されます。
2. 固定金利を選ぶ
金利上昇リスクを回避するために、全額変動金利ではなく、一部固定金利を組み合わせる方法も検討しましょう。
3. 余裕資金を確保する
万が一に備え、最低6ヶ月分の生活費は現金で確保しておくことが重要です。
まとめ
住宅ローンを全額借りて、手元資金を投資に回す方法は、理論上はメリットがあるものの、金利上昇リスクや投資の不確実性を考慮する必要があります。
おすすめの選択肢:
- リスク許容度が高く、投資に慣れているなら「全額ローン+投資」も検討可
- 安全性を重視するなら「頭金を一部入れる+固定金利で安定」がおすすめ
- どちらを選ぶにしても、生活資金を確保し、ローン返済が無理のない範囲であることが重要
自分のライフプランやリスク許容度を考慮し、最適な選択をしましょう。
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