住宅ローンを選ぶ際、多くの人が「固定金利(フラット35)」と「変動金利」のどちらを選ぶべきかで悩みます。特に2019〜2020年は、フラット35の金利が1%を下回るほど低水準でしたが、それでも多くの人が変動金利を選択しました。
では、この時期に変動金利を選んだ人は「目先の小銭」に目がくらんだのでしょうか?それとも、フラット35を選んだ人は「賢者」だったのでしょうか?本記事では、当時の状況と、固定金利・変動金利の選択理由について解説します。
2019〜2020年の住宅ローン金利の状況
まずは、当時の住宅ローン金利の状況を振り返ってみましょう。
1. フラット35の金利
2019〜2020年のフラット35の金利は以下のように推移していました。
年度 | 最低金利(フラット35) |
---|---|
2019年 | 約0.9%(35年固定) |
2020年 | 約0.8%(35年固定) |
この金利水準は、過去最低レベルでした。固定金利で1%を切ることは非常に珍しく、長期間安定した返済ができるメリットがありました。
2. 変動金利の金利
一方、変動金利は当時も超低水準でした。
- 2019〜2020年の変動金利は約0.4%〜0.6%(銀行による)
- フラット35(固定金利)よりも約0.5%低い水準で推移
つまり、目先の金利差だけで見れば、変動金利を選んだ方が毎月の返済額が少なくなる状況でした。
なぜ変動金利を選んだ人が多かったのか?
それでは、なぜ当時多くの人が変動金利を選んだのでしょうか?理由を見ていきます。
1. 目先の返済額の安さ
単純に、変動金利の方が月々の支払いが安かったからです。例えば、3,000万円を借り入れた場合の月々の返済額を比較すると以下のようになります。
金利タイプ | 金利 | 月々の返済額(35年ローン) |
---|---|---|
フラット35(固定) | 0.9% | 約81,000円 |
変動金利 | 0.5% | 約76,000円 |
このように、月々5,000円程度の差が生じていました。年間6万円、10年で60万円の差となるため、当時の低金利を考えると、変動金利を選んだ人の判断も理解できます。
2. 「金利はしばらく上がらない」と考えた
2019〜2020年当時は、日銀が低金利政策を継続しており、「当面の間、金利は上がらない」と考えられていました。そのため、「今後も変動金利は低水準のままだろう」と予想し、変動金利を選んだ人が多かったのです。
3. 繰り上げ返済を前提にした選択
変動金利を選んだ人の中には、「数年以内に繰り上げ返済をして完済する計画だった」人もいました。短期間で返済を終える場合、低金利の変動金利を利用して返済負担を減らすのは合理的な選択です。
フラット35を選んだ人は「賢者」だったのか?
フラット35を選んだ人は、以下の点で有利だったといえます。
1. 長期的な安心感
フラット35を選んだ人は、将来の金利上昇リスクを回避し、35年間一定の返済額で安心して暮らせるというメリットを享受できます。「リスクを避ける」という観点では、賢い選択だったと言えるでしょう。
2. 変動金利上昇のリスク回避
2022年以降、物価上昇の影響などで、金利の引き上げが現実的なシナリオとなってきています。もし今後変動金利が上昇すれば、フラット35を選んだ人の方が有利になる可能性があります。
結局どちらが正解だったのか?
フラット35と変動金利のどちらが正解かは、一概には言えません。
- 当時の金利を活かし、短期間で返済を終えるなら「変動金利」が有利
- 長期間の安定を求めるなら「フラット35」が賢明
つまり、それぞれのライフプランやリスク許容度によって、どちらを選ぶべきかが異なるのです。
まとめ
2019〜2020年にフラット35が1%を切る低金利だったにもかかわらず、変動金利を選んだ人が多かった理由は以下の通りです。
- 目先の返済額が安くなるため
- 「金利は当面上がらない」と考えられていた
- 繰り上げ返済を前提にした人が多かった
一方で、フラット35を選んだ人は、将来の金利上昇リスクを回避し、安定した返済を続けることができるメリットがあります。
どちらが正解かは、住宅ローンをどのように活用したいかによるため、一概に「フラット35を選んだ人が賢者」とは言えません。大切なのは、自分のライフプランに合ったローンを選ぶことです。
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