マンションの異臭問題が発生した際、その原因を特定し、解決するためには調査が必要です。しかし、調査費用の負担については、専有部と共有部の違いによって責任が分かれるため、トラブルに発展することもあります。本記事では、調査費用の負担に関する基本的な考え方や、具体的な対処方法について解説します。
調査費用の負担区分:専有部と共有部の違い
マンションの管理規約では、専有部(個々の住戸)と共有部(共用部分)の管理責任が明確に分かれています。
- 専有部の問題 → 住戸内の設備や配管が原因の場合、居住者が調査費用を負担
- 共有部の問題 → 管理組合が修繕義務を負い、調査費用も管理組合が負担
このため、異臭の原因がどちらにあるのかを特定することが重要になります。
管理会社の提案:「まず自分で調査を依頼すべき」について
管理会社の意見として、まずは自費で調査を行い、その結果をもとに管理組合に共有することを推奨しています。これは、管理組合を説得するために客観的なデータが必要であるためです。
管理会社の主張の背景
- 異臭の原因が専有部にある場合、管理組合が費用を負担することはできない
- 管理組合を納得させるには、調査データが必要(音や臭いだけでは難しい)
- 総会を開くための手続きが煩雑で時間がかかる
しかし、調査費用を先に負担することにはリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
業者の提案:「まず管理組合に相談すべき」について
業者は、事前に管理組合と調査費用の負担について合意を取るべきと忠告しています。
業者の主張の背景
- 調査後に原因が共有部にあると判明した場合でも、管理組合が費用負担を拒否する可能性がある
- 管理会社の判断だけではなく、管理組合の同意を取ることで、後のトラブルを回避できる
- 書面で「共有部の問題であれば管理組合が費用を負担する」と確約を取ることが重要
どのように対応すべきか?
1. まずは管理組合と相談
業者のアドバイス通り、管理組合に調査の必要性を説明し、事前に合意を取ることが重要です。その際、以下の点を明確にしておきましょう。
- 異臭の発生状況(いつ・どこで・どのような臭いがするか)
- 他の住戸にも影響があるかどうか(複数の住戸で同様の異臭があると管理組合も動きやすい)
- 調査費用の負担について明確な合意を得る(書面で残す)
2. 一次的な調査を自分で行う
管理組合がすぐに動いてくれない場合、一次調査としてできる範囲で原因を特定しておくと、交渉がスムーズになります。
- 換気扇やエアコン、排水口の確認
- 消臭剤や空気清浄機の利用で一時的な改善が可能か
- 他の住戸に同じ問題がないかを確認
3. 専門業者への調査依頼
一次調査で原因が特定できなかった場合、専門業者に調査を依頼し、具体的なデータを収集します。
- 業者には「共有部の問題なら管理組合が負担する可能性がある」ことを伝えておく
- 調査報告書を作成してもらい、管理組合への説明資料として活用する
まとめ
異臭問題の調査費用を誰が負担するかは、原因が専有部か共有部かによって決まります。管理会社は「まず自費で調査をすべき」と提案していますが、業者の意見も考慮し、管理組合と事前に費用負担について合意を取ることが重要です。
対応手順としては、
- 管理組合に相談し、調査費用の負担について話し合う
- 可能な範囲で一次調査を行い、原因を絞る
- 業者に調査を依頼し、詳細なデータを取得する
- 管理組合へ報告し、共有部の問題であれば管理組合に対応を求める
事前にしっかりとした手順を踏むことで、無駄な費用負担を防ぎ、スムーズに問題解決ができる可能性が高まります。
コメント